都心のど真ん中、100坪規模の証券会社オフィス。単に「働く場所」を作ったのではない。社員一人ひとりの一日に思いを巡らせ、同時にお客様の資産を守るための慎重な空間を描いた。本記事は、タイアンブリッジ様との最初のお打ち合わせから竣工に至るまでの全工程を記録した施工記である。
はじめに ― オフィスは結局、人のための空間である
オフィスインテリアの本質は「美しさ」ではない。そこで毎日8時間以上を過ごす人々の 生活の質、そしてその空間が宿す 企業の哲学 こそが本質だとされる。
今回依頼を受けたのは、100坪規模の証券会社オフィスの施工である。一般的なオフィス工事とは異なり、タイアンブリッジ様からは二つの特別な要望があった。
一つ目は、社員福祉を最優先に考えること。 二つ目は、お客様の機微な資産情報を守るセキュリティを備えること。
相反するように見えるこの二つの要望を、一つの空間の中に溶け込ませる。それが今回のプロジェクト最大の課題だった。
1. 初回打ち合わせ ― タイアンブリッジ様 代表とのひとこと


タイアンブリッジ様の代表との最初の打ち合わせは、約2時間に及んだ。空間の話よりも、会社の話の方が長かった席だったという。
「社員が幸せでなければ、お客様の資産も守れないと信じています。」
このひとことが、プロジェクト全体の方向性を決定づけたとされる。
代表は単に「きれいなオフィス」を望んでいたのではない。出社する瞬間から退社するまで、社員が どのような動線をたどり、どんな感情を味わうか を共に考えたという。
その日の対話で深く刻まれたキーワードは、次の四つである。
- 休息が保障される空間
- 集中できる環境
- 自然な対話が生まれる動線
- 外部に露出しないセキュリティ領域
この四つを100坪という面積の中でどう均衡させるか。設計はこの問いから始まったとされる。
2. 空間哲学 ― 二つのレイヤーに分ける

証券会社という業種の特殊性を踏まえると、空間は 明確に二つの領域 に分ける必要があったという。
2-1. 「Open Layer」― 人が留まる空間
社員の日常が流れる領域である。執務スペース、休憩室、給湯室、ラウンジがここに属する。この領域のキーワードは、開放感・温かさ・自然光だったとされる。執務スペースの天井は仕上げ材で覆わず、打ちっぱなしコンクリートとライン(リニア)照明を生かして天井高を伸びやかに開放し、デスクの合間にはグリーンの鉢植えを配して硬いパーティションに代わる自然な境界をつくったという。
2-2. 「Secure Layer」― 資産を守る空間
お客様相談室、サーバー室、役員室、資料保管室を含む領域である。この領域のキーワードは 遮蔽・節制・慎重さ だったとされる。
この二つのレイヤーを 物理的には分離しつつ、視覚的には連結する。それがタイアンブリッジ様のオフィス設計の核となるコンセプトだったという。二つの領域が交わる境界には直線ではなく、柔らかな曲線の壁とR処理を施したガラスパーティションを採用し、分かたれていながらも視線が自然に続くよう工夫された。
3. 社員福祉空間 ― 「働く場所」を超えて「留まりたい場所」へ

3-1. ラウンジ ― 一日の呼吸を整える席
タイアンブリッジ様の100坪オフィスで真っ先に位置を定めた空間は、意外にも ラウンジ だったという。
執務スペースではなく休息空間を優先配置した理由はシンプルだとされる。良い休息なくして、良い集中はない からである。
ラウンジは窓辺に沿って細長く配置し、自然光が最も差し込む場所に据えられた。床は温かみのあるトーンのオーク無垢材を敷き、天井には大型の楕円形の光天井を浮かせて空間全体をほのかに照らしている。壁面に沿っては無垢材の造作ベンチと小さなテーブルを配し、しばし腰を下ろして一日の呼吸を整えられるよう設計されたという。
家具は無垢材とホワイトを基調に、テラコッタブリックタイルとグリーンで温かなアクセントを加えた。過度な色を抑えつつ、冷たくならず、留まりたくなる温度をつくることが目標だったとされる。
3-2. 給湯室 ― 一日に三度、最も頻繁に訪れる場所
給湯室は単なる簡易キッチンではない。社員が一日に最も頻繁に出入りし、日常の質感が最もよく現れる空間とされる。
タイアンブリッジ様のプロジェクトでは、給湯室に次のような要素が加えられた。
- テラコッタブリックタイル仕上げのアイランドカウンターとビルトインシンク
- 腰を下ろしてしばし留まれるカウンター席
- 自然光が入る窓側配置
- 音を吸収する吸音天井材
特に吸音天井材は、食器がぶつかる音や会話が執務スペースに漏れないようにするための、小さな配慮だったという。
3-3. 集中ブース ― 一人になりたい瞬間のために
証券業務の特性上、短時間で深い集中が必要となる場面が多いとされる。そのためタイアンブリッジ様のオフィスでは、ワンフロアの一角に 1人用集中ブースを4台 設けた。
ブース内部は吸音パネル仕上げで外部の騒音を遮断し、照明は色温度の調節が可能な チューナブル ホワイト(Tunable White) システムを採用したという。午前は涼やかな白色光、午後は温かな電球色へと自動で切り替わり、一日の流れに自然に寄り添う設計とされる。
4. セキュリティ設計 ― 見えない場所にこそ最大限の心を尽くす


証券会社オフィスの本質的な責任は、お客様の資産に関する情報を 決して外部に漏らさないこと とされる。タイアンブリッジ様のために、次のセキュリティ設計が採用された。
4-1. 動線分離 ― 外部の足が届かない領域
来訪者動線と社員動線を エントランスから完全に分離 した。来訪者は入口 → 応接室 → 相談室へと続く限定された動線のみを利用でき、社員執務エリアへはカードキー認証なしには進入できない構造とされる。メインエントランスはブラックトーンのアクセントウォールと、不透明型板ガラスの自動ドアで仕上げ、外部から内部が直接覗き込まれないよう、それでいて整った第一印象を与えるよう工夫されたという。
4-2. 視野遮断 ― モニターが見えない席
証券業務の特性上、社員のモニターにはお客様情報や取引履歴が表示される。これを外部の視線から遮るため、次が採用されたという。
- 窓側席への プライバシーフィルム 施工
- デスク間の 視野遮断パーティション 設置
- 相談室・会議室のガラス壁には不透明型板ガラス(プライバシーガラス)を適用
特に相談室のガラス壁は、角を曲面でR処理した上で不透明型板ガラス仕上げとし、廊下の開放感を保ちながらも、内部のモニターや書類が外部から見えないようにしたとされる。
4-3. 音響遮蔽 ― 聞こえない空間をつくる
相談室と役員室の壁体には 二重遮音構造 が採用された。石膏ボード2枚の間に遮音材を充填し、ドア枠周りには アコースティック シーラント(Acoustic Sealant) が隙間なく施工されたという。
この工程は目に見えないが、施工時間の約15%を占めるほど手が尽くされた作業だったとされる。
4-4. サーバー室 ― 資産を守る最奥部
サーバー室はオフィスの最奥、外壁と直接接しない位置に配置された。恒温恒湿システム、二重出入認証(カードキー+指紋)、漏水検知センサー、消火ガスシステム まで。見えない領域にこそ、最も多くの費用と時間が注がれているという。
5. 素材選定 ― 時を経ても品格が残る素材

タイアンブリッジ様のプロジェクトでは、流行より時間に耐える素材 が選ばれたという。
| 領域 | 主要仕上げ材 | 選定理由 |
| 床 | オーク無垢材+磁器質タイル ラ | ウンジは無垢材、執務スペースは タイルで区画分け |
| 壁面 | 艶消し塗装+ウッドパネル 光 +ブラックアクセントウォール | の反射を抑え、柔らかな印象 |
| 天井 | 打ちっぱなしコンクリート 空 ・ウッドスラット・光天井 落 | 間ごとの天井差別化で開放感と ち着きを両立 |
| 家具 | ウォルナット無垢材+ 堅 ファブリック | 牢さと温かさの調和 |
| 照明 | チューナブル ホワイト LED 時 | 間帯ごとの自然な変化 |
特に執務スペースの床は、汚れや傷に強い磁器質タイルを選んで今後のメンテナンス負担を抑え、人が長く留まるラウンジにはオーク無垢材を敷いて、同じ空間の中でも足裏の感触で領域が区別されるよう設計されたという。空間は竣工した瞬間が終わりではなく、その時から時間が始まるものだとされる。
6. 施工プロセス ― 60日間の記録

タイアンブリッジ様のオフィス総施工期間は60日だったという。おおまかな流れは次の通りである。
1週目 ― 解体および既存構造物整理 既存仕上げ材をすべて解体し、躯体状態を点検した。
2~3週目 ― 電気・通信・セキュリティ配線作業 セキュリティシステムのための追加配線が多数必要となり、一般オフィスの約1.5倍の時間を要したとされる。
4~5週目 ― 間仕切り施工および遮音作業 二重遮音壁、吸音天井材の施工。
6~7週目 ― 仕上げ材施工 塗装、床材、壁面パネル作業。
8週目 ― 家具搬入および照明セッティング チューナブル ホワイトシステムのキャリブレーション、家具配置。
9週目 ― 精密点検および引渡し セキュリティシステム動作試験、騒音測定、照度測定を経てタイアンブリッジ様 代表へ引き渡された。
7. 竣工、そしてタイアンブリッジ様 代表のひとこと


竣工後、初出勤日の朝、タイアンブリッジ様の代表から届いたメッセージは、今も記憶に残っているという。
「社員の表情が変わりました。それがすべての答えだと思います。」
空間が人を変え、その人がまた会社を作っていく。この仕事を続ける理由は、まさにその変化の瞬間を共に見届けられるからだとされる。
▼ 業者比較の参考情報として、下記より詳細を確認できます。
おわりに ― オフィスインテリア、どこから始めるべきか

タイアンブリッジ様のように、セキュリティが重要な業種、社員福祉を重視する会社、そして100坪以上の大規模オフィス施工を検討している場合は、次の点を押さえておきたい。
- 空間設計は動線設計から始まる。
- 休息空間を先に配置すれば、執務スペースの効率もついてくるとされる。
- セキュリティは目に見えない場所にこそ最大の費用をかけるべきである。
- 素材は流行ではなく時間を基準に選ぶべきである。
- 経営者の哲学が明確であるほど、空間はより深く完成するとされる。
今後も、単なる施工ではなく、その会社の哲学を空間に刻む仕事 が続けられる。 オフィスインテリア、オフィス施工、証券会社・金融機関オフィスのリモデリングを検討している場合は、問い合わせが可能である。空間を通じて、会社の次の10年を共に設計するという。